Vultr VPSを現役エンジニアがレビュー

安定的かつコストを抑えたサーバ運用はエンジニアにとって永遠のテーマです。

本記事では、現役ウェブエンジニアの筆者が、VPS(Virtual Private Server)の大手プロバイダーであるVultrをレビューします。

Vultrの各種機能、メリット・デメリット、どのような人におすすめなのかを解説します。また、Vultrを無料で試してみたい方には期間限定の300ドルクーポンも記事内に掲載してありますので、ぜひ読んでみてください。

Vultrとは

Vultrは世界中にデータセンターを展開しているクラウドプラットフォームです。

VPS (Virtual Private Server)に加え、ストレージ、マネージドデータベース、ロードバランサーなど、様々なソリューションを提供しています。

サービス名Vultr
運営企業名The Constant Company, LLC.
(Vultr Holdings, LLCの親会社)
本社所在地West Palm Beach, Florida, U.S.A
設立年2014
データセンター数33か所
累計クラウドサーバー数8千万個以上

Vultrは非上場企業ですが、2024年には世界的な半導体メーカーのAMDのベンチャーキャピタル部門などから総額3億3,300万ドル(企業価値は約35億ドルの評価)を調達しており、エンジニアだけでなく投資家からも高く評価されています。

日本を含む33か所のデータセンター

Vultrは日本を含む33の地域でデータセンターを展開しています。

Vultrデータセンターリージョンの地図

日本のデータセンターは東京と大阪の2か所があるため、通信遅延を気にすることなく日本のユーザ向けにウェブサービスなどを運営することが可能です。

Vultrのクラウド製品

Vultrは様々なクラウドベースの機能を提供しており、ユーザが自由に組み合わせて利用することが可能です。

クラウドコンピューティング (VPS)

いわゆるVPSで、クラウド上でLinuxやWindowsの仮想サーバを実行することができます。

VultrのVPSは、CPUを共有する一般的なVPSから物理サーバ占有まで、リソースの占有度によって4種類のプランから選択可能です。

  1. Dedicated CPU(VX1インスタンス): 大規模なアプリやデータベース向けの占有CPUプラン。
    • General Purpose:汎用的なインスタンス
    • Memory Optimized:大容量メモリが必要なタスク向け。
  2. Shared CPU: 小~中規模のアプリやステージング環境向けの共有CPUプラン。
    • Regular Performance:一世代前のCPUと通常のSSD。
    • High Performance:最新世代のCPUとNVMe SSDにより、単体コアの処理性能、マルチスレッド処理効率、ディスクIOをバランス良く向上。
    • High Frequency:クロック周波数(GHz)の高さによるシングルスレッドの処理能力を向上。
  3. Cloud GPU: GPUを占有もしくは共有できるプラン。AI、機械学習、画像処理向け。
  4. Bare Metal: 物理サーバを仮想化レイヤーなしで占有できるプラン。他のプランよりさらに大規模なアプリや強固なセキュリティが必要な場合。

また、各プランでは、CPU数、メモリ量、ディスク容量、ネットワーク転送量が異なる様々なVPSを選択可能です。

Shared CPUプランのVPS選択画面

Vultr Shared CPUプランのVPS一覧

東京リージョンで最も安いインスタンスは月額5ドルとなっており、お試しでVultrを使ってみたい人でも安価に試すことが可能です。

クラウドストレージ

Vultrは3種類のクラウドストレージを提供しています。

  • Vultrブロックストレージ: NVMe SSDもしくはHDDをVPSインスタンスにアタッチしてディスク容量を増やすことができます。
  • Vultrオブジェクトストレージ: AWS S3と互換性があり、静的ファイル、バックアップ、ログの置き場所として最適です。
  • Vultrファイルシステム: 複数のVPSインスタンスから同時にアクセス可能な共有ファイルシステムです。

マネージドデータベース

以下の4種類のデータベースの構築・運用をVultrにおまかせできるサービスです。

  • MySQL
  • PostgreSQL
  • Valkey
  • Apache Kafka

自身でVPS内にデータベースをインストールすることに比べ、Vultrのマネージドデータベースには以下のようなメリットがあります。

  • スケーラビリティ:垂直スケーリング(単一ノードのリソース追加)、水平スケーリング(ノード数の追加)がワンクリックで可能です。
  • 冗長化:複数ゾーンへのレプリケーション、自動フェイルオーバー、ロードバランシングがデフォルトで付与されます。
  • バージョンアップ:ダウンタイムをほとんど発生させることなくデータベースのバージョンアップを行えます。
  • 自動バックアップ:オフサイトへの自動バックアップが組み込まれており、過去のバックアップへのリカバリーが可能です。

コンテナ・オーケストレーション

VultrではVPSやマネージドデータベースなどのリソースをKubernetesクラスターとして運用可能です。

  • Kubernetesエンジン:ウェブ管理画面から数クリックでKubernetesクラスターをデプロイ可能です。
  • コンテナレジストリー:コンテナイメージを保存し、Kubernetesエンジンとシームレスに連携可能です。

ネットワーク

Vultrでは以下のネットワーク関連サービスを利用できます。

  • VPC (Virtual Private Clouds): VPSやマネージドデータベースなどのリソースを仮想プライベートネットワーク内に配置できます。
  • Load Balancer: 複数のVPSインスタンスにトラフィックを分散できます。
  • Firewall Groups: 複数のVPSを単一のファイアウォール設定で管理したり、 異なるファイアウォールグループにダウンタイムなしでVPSを移動できます。
  • CDN: 静的ファイルを世界中のエッジロケーションに配信できます。

その他の製品

  • DNS: ネームサーバにドメインを登録できます。
  • Reserved IPs: 固定IPアドレスを購入し、VPSなどのリソースに付与できます。
  • Serverless Inference: サーバーレスでAIモデルをデプロイできます。

このように、VultrはウェブアプリやAIアプリを運用するのに必要な機能をほぼ備えています。

Vultrの料金体系

Vultrの料金体系はサービスごとに異なりますが、従量課金と月額固定料金の組み合わせで以下の4種類に分類されます。

  1. 1時間ごとの従量課金
    • Dedicated CPU(例: $0.060/時間)
    • Cloud GPU(例: $2.590/GPU/時間)
    • Bare MetalのGPUサーバ(例:$0.848/GPU/時間)
  2. 上限付き従量課金
    • Shared CPU (例: $0.004/時間、上限$2.50/月)
    • Bare MetalのCPUサーバ(例: $0.179/時間、上限$120/月)
    • マネージドデータベース(例: $0.134/時間、上限$90/月)
  3. 月額固定料金
    • ストレージ(例:40GBのHDDは1ドル/月)
  4. 月額固定料金プラス従量課金
    • CDN(例:10ドル/月+データ転送)

上限付き従量課金は、従量課金の28日分換算で上限が設定されていることが多いです(インスタンスによって例外はあります)。そのため、1時間だけ使ったら1時間のみ請求されますが、31日間使っても従量課金換算で28日分しか請求されることはありません。

Vultrの300ドルクーポン(期間限定)

Vultrに以下のリンク経由で登録すると、30日間有効な300ドルクーポンをもらえます。300ドルあれば、Vultrのサービスを無料で一通り試すことができます。

Vultr VPSで使用可能なOS

Vultr VPSのOSは、Linuxの代表的なディストリビューション、BSD、Windowsから選択可能です。

Vultr VPSのOS一覧

選択可能なOS一覧:

  • Linux/BSD
    • Ubuntu
    • Debian
    • CentOS Stream
    • Rocky Linux
    • Fedora
    • AlmaLinux
    • Alpine Linux
    • Arch Linux
    • Fedora CoreOS
    • Flatcar Container Linux
    • FreeBSD
    • OpenBSD
    • openSUSE
  • Windows
    • Windows Core Standard
    • Windows Standard

また、カスタムISOのアップロードにも対応しているので、特殊なOSを使いたい場合にも便利です。

Vultrのメリット

筆者が感じたVultrのメリットは以下の通りです。

VPSインスタンスの豊富さとコスパ

マルチスレッド処理やディスクIOに優れた「High Performance」、高クロック(3.0GHz以上)で単一スレッドの計算能力に優れた「High Frequency」など、インスタンスプランが充実しています。

また、同等スペックのVPSをAWSなどのメガクラウドで利用するよりも低価格で利用することができます。

試しに、VultrのRegularプランと同等のメモリ量のマシンをAWS Lightsailで利用する際に何倍の料金がかかるかを計算して以下の表にまとめてみました。コスト倍率は、Lightsailの月額料金がVultrの何倍かの指標です。

Vultr VPSとAWS Lightsailの比較

VultrLightsail
メモリvCPUSSD転送量月額vCPUSSD転送量月額コスト倍率
0.5GB110GB0.5TB$3.5220GB1TB$51.4倍
1GB125GB1TB$5240GB2TB$71.4倍
2GB155GB2TB$10260GB3TB$12 1.2倍
2GB265GB3TB$15260GB3TB$120.8倍
4GB2 80GB3TB$20280GB4TB$241.2倍
8GB4160GB4TB$402160GB5TB$441.1倍
16GB6320GB5TB$804320GB6TB$841.05倍
32GB8640GB6TB$1608640GB7TB$1641.03倍
64GB161280GB10TB$320 161280GB8TB$3841.2倍
96GB241600GB15TB$640なしなしなしなしn/a

vCPUの数やSSD容量が異なるため1:1の比較は難しいですが、特定のメモリー量が必要な場合、ほとんどのインスタンスでVultrの方が安く利用できることがわかります。

低価格で、課金体系がわかりやすい

VultrのShared VPSは上限付きの従量課金(実質的に月額固定)のため、ほぼ確実に予算内で運用することができます。

また、月額数ドルのVPSもあるため、個人でも設立直後のスタートアップでも金銭的なハードルを感じることなく運用を開始できます。

拠点が多く、日本国内にも2拠点ある

Vultrは世界33か所のリージョンを持っています。日本は東京と大阪の2拠点があり、国内向けサイトで低レイテンシを確保しやすく、東京・大阪間の冗長構成も組めます。

Vultrのデメリット

筆者が感じたVultrのデメリットを解説します。

マネージドサービスの少なさ

VultrにもマネージドデータベースやマネージドKubernetesなどを提供していますが、AWSのLambda(サーバーレス)やSES(Eメール)のような膨大な数のマネージドサービスはありません。

そのため、Vultrに存在しないサービスについては自身でVPS上に構築するか、サードパーティとAPI連携する必要があります。

オブジェクトストレージが月額固定料金

Vultrのオブジェクトストレージは、特定のディスク容量と転送量を事前に確保する月額固定料金です。ただ、最低ディスク容量と転送量が1TBからと大容量になっており、アーカイブプランで月額$6、スタンダードプランで$18が最低料金です。

そのため、大量のデータが既にあるか見込める場合は非常に安価に利用できるのですが、少量のデータしかないうちは豊富な容量を活用できず、従量課金制のS3に比べて割高になってしまいます。

Vultrオブジェクトストレージは最低1TBから:

Vultr Object Storage料金

筆者の試算では、スタンダードプランであれば保存容量が700GBを超えるあたりからVultrの方がS3よりも安くなります。

そのため、コストを抑えたいのであればデータが少ないうちはVultr VPSとAWS S3の組み合わせで運用しておき、データ量が増えた段階でオブジェクトストレージもVultrに移行する、などの工夫が必要です。

日本語のUIがない

VultrのUIやドキュメンテーションは全て英語です。そのため、英語が苦手なエンジニアは慣れるまで苦労するかもしれません。

とは言っても管理画面のメニューはエンジニアになじみが深いIT用語が中心ですし(Orchestration等)、もしわからなくてもAIに頼めば全て日本語に翻訳してくれますので、そこまでのハードルではないでしょう。

まとめ: Vultr VPSがおすすめな人

まとめると、Vultrがおすすめな人は以下の通りです。

  • 多くのマネージドサービスを必要とせず、VPSを中心に基本構成のアプリケーションを構築したい方。
  • 日本のデータセンターで低遅延かつ低コストで運用したい方。
  • 小〜中規模の本番環境や、検証環境を構築したい方。

ご自身のアプリの運用環境候補として、ぜひ一度試してみてください。