データベース管理に時間を取られているけど、マネージドデータベースはコストが高いため躊躇してしまう、といった経験はないでしょうか。
本記事では現役ウェブエンジニアの筆者が、Vultrが提供しているコスパ最強なVultr Managed Databaseについて解説します。
プランの種類やAWSとの料金比較、メリット・デメリット、具体的な使い方まで解説しますので、マネージドデータベースに興味がある方、既に使っているがコストを削減したい方はぜひ読んでみてください。
Vultr Managed Databaseとは
Vultr Managed Databaseはその名の通り、クラウドプラットフォームのVultrが提供しているマネージドデータベースサービス(Database as a Service, DBaaS)です。
以下の4つがマネージドデータベースとして利用可能です。
- MySQL(InnoDB)
- PostgreSQL
- Valkey
- Apache Kafka
自身でVPS内にデータベースをインストール・設定することに比べ、Vultrのマネージドデータベースには以下のようなメリットがあります。
- スケーラビリティ:垂直スケーリング(単一ノードのリソース追加)、水平スケーリング(ノード数の追加)がワンクリックで可能です。
- 冗長化:複数ゾーンへのレプリケーション、自動フェイルオーバーを利用できます。
- バージョンアップ:ダウンタイムをほとんど発生させることなくデータベースのバージョンアップを行えます。
- 自動バックアップ:オフサイトへの日次バックアップがデフォルトで組み込まれており、過去のバックアップへのリカバリーが可能です。また、バイナリーログを使った任意の日時へのリカバリー(point in time recovery)も可能です。
面倒なデータベース管理業務をVultrプラットフォームに委託することにより、自身はアプリケーション開発に集中できます。
Vultr Managed Databaseのプラン
Vultr Managed Databaseのプランは、占有vCPUか共有vCPUかによって大カテゴリーに分類され、さらに特化しているリソース(ディスク容量など)やCPU世代によって小カテゴリーに分類されます。
- Optimized Cloud Compute:vCPUを占有できるプラン。
- General Purpose: CPU、RAM、NVMe SSDのバランスの取れた汎用プラン。
- Storage Optimized: 大ディスク容量(150 GB~)のプラン。
- Memory Optimized: 大メモリ容量(16GB~)のプラン。Valkeyでのみ提供。
- Cloud Compute:vCPUを共有するプラン。
- High Performance (AMD or Intel): 最新世代のCPUとNVMe SSD
- Regular Performance: 1世代前のIntel CPUとSSD
別のプランへの変更は簡単にできるため、どのプランを使えば良いかわからない場合は一番安いRegular Performanceから始め、ワークロードに合わせて調整していく方法がおすすめです。
Vultr Managed Databaseの料金
VultrのManaged Databaseは上限付き従量課金制です。
これは、1時間あたりの値段で課金され、月の上限額に達したらそれ以上は課金されないという仕組みです。
例えばPostgreSQLの一番安いプランは$0.022/時間ですが、月の上限は$15ですのでそれ以上は課金されません。これは従量課金ベースだとおおよそ28日分に相当しますので、数日分は割安に使えるということです。
Vultr Managed Databaseの料金表:従量課金と上限が併記されている

また、フェイルオーバー用のレプリケーション(スタンドバイ)を有効にする場合、ノード数に応じて追加料金が発生します。レプリケーションは1ノードにつき本体の2/3のコストで運用できます。例えば、レプリケーションなしで月額$30なら、同じ性能のインスタンスでレプリケーションが1つだと月額$50(レプリケーション代で$20追加)になります。
実際の管理画面では、同じ性能のインスタンスでもレプリケーション数によってプランが分かれているため、プラン料金はレプリケーション料金込みで表示されています。

レプリケーションは最大2つまでです(Apache Kafkaはもともと分散システムなので、レプリケーションの代わりにブローカー数を選択します)。
Vultr Managed Databaseのメリット
筆者が使って感じたVultr Managed Databaseのメリットを解説します。
圧倒的なコスパ
マネージドデータベースと言えばAWSのRDS (Relational Database Service)が有名ですが、Vultr Managed Databaseの方が圧倒的にコスパが良いです。
Vultr Managed DatabaseとAWS RDSで同スペックのインスタンスをいくつか比べてみました。
0レプリカ / Single-AZ(東京リージョン)
| スペック | Vultr 月額 | AWS RDS 月額 |
| 1 vCPU / 1 GB RAM / 25 GB SSD | $15 (Regular Performance) | $23 (db.t2.micro + 25GB gp2) |
| 2 vCPU / 4 GB RAM / 80 GB SSD | $60 (Regular Performance) | ~$87 (db.t2.medium + 80GB gp2) |
1レプリカ / Multi-AZ(東京リージョン)
| スペック | Vultr 月額 | AWS RDS 月額 |
| 2 vCPU / 8 GB RAM / 160 GB SSD | $200 (Regular Performance) | $349 (db.t2.large Multi-AZ + 160GB gp2) |
| 8 vCPU / 32 GB RAM / 640 GB SSD | $800 (Regular Performance) | $1397 (db.t2.2xlarge Multi-AZ + 640 GB gp2) |
上記の表から、Vultr Managed DatabaseはAWS RDSのおおよそ2/3以下のコストで運用できることがわかります。
また、Vultr Managed Databaseは隠れコストがなく、自動バックアップ、テラバイト単位の無料転送枠が基本料金に含まれています。これらの料金も含めるとRDSとのコスト差はさらに広がります。
可用性、拡張性、セキュリティを兼ね備えている
Vultr Managed Databaseは、マネージドデータベースに求められる可用性、拡張性、セキュリティの要件をすべて満たしています。
- 可用性(High Availability): データベース作成時にフェイルオーバーレプリカ付のプランを選択することで自動的に担保されます。プライマリーノードに障害が発生した場合、レプリカが自動的にプライマリーに切り替わりますが、同じエンドポイントが保持されるため手動介入は必要ありません。
- 拡張性(Scalability):稼働中のデータベースのプランはいつでも変更することができ、vCPUs、メモリ、ストレージなどのリソースを追加可能です(垂直スケーリング)。また、リードレプリカを追加することで、トラフィックの負荷分散が可能です(水平スケーリング)。
- セキュリティ:VPCと組み合わせることで、パブリックインターネットからデータベースを保護し、アプリケーションサーバーからのみアクセス可能になります。また、IPアドレスによるホワイトリストも追加可能です。
Vultr Managed Databaseのデメリット
個人的にデメリットはほとんど感じないのですが、あえて挙げるなら以下の3つになります。
MySQLとPostgreSQL以外のRDBがない
MySQLとPostgreSQLはマネージドサービスとして利用可能ですが、OracleやSQL Serverなどの商用データベースを使いたい場合は自身でVPSを使って構築する必要があります。
為替の影響を受ける
Vultr Managed Databaseは隠れコストがないため、ドルベースであればほぼ予想通りの請求金額になりますが、為替の影響を受けるため円ベースだと毎月のコストが変動します。
グローバルなクラウドプラットフォームのほとんどがドルベースの料金なのでVultrだけのデメリットではありませんが、為替変動があっても大丈夫なようにある程度予算にバッファーを持たせた方が良いでしょう。
UI・ドキュメンテーションは全て英語
マネージドデータベースに限らず、Vultrの製品のUI・ドキュメンテーションは全て英語です。最近はAIに頼めば日本語に翻訳してくれるためほとんど問題にはならないでしょうが、英語が苦手な人には若干のハードルかもしれません。
Vultr Managed MySQLの使い方
ここからは、Vultr Managed Databaseの具体的な使い方をMySQLを例に解説します。
もしまだVultrにアカウントを持っていない方は、以下のリンクから登録すると$300のクレジットがもらえます。$300あればマネージドデータベースを含むVultrのほとんどの機能を無料で試すことができます。
ユーザ登録の詳しいステップは以下の記事で解説しています。
- 関連記事: Vultr VPSを現役エンジニアがレビュー
左メニューの「Storage」から「Databases」を選択し、「Basics」セクションでMySQLを選んで「Name」にデータベース名を入力します。バージョンは8.4のみ選択可能です。

「Plan」セクションでサーバーの種類を選択します。本記事では以下のプランにします。
- Plan Variant: VC2。料金表で「Regular Performance」と表記されている標準サーバーです。
- Failover Replica Nodes: 1
- Plan: vultr-dbaas-business-cc-1-55-2 (月額$50)

注)指定したレプリケーションノード数のプランのみがフィルタリングされて表示されるので、レプリケーションなしにしたい場合はプラン選択前にレプリケーションノード数を0にする必要があります。
ロケーションを選択。本記事では東京リージョンを選択します。
注)データベースの種類やプランによって選択できるリージョンは異なります。ただし筆者が確認した限りでは、ほぼ全てのデータベースとプランで東京と大阪リージョンが選択可能です。

VPC (Virtual Private Cloud)ネットワークを選択もしくは作成します。本記事はデモのためスキップしますが、本番環境ではセキュリティのために作成を推奨します。

画面右のSummaryと料金を確認し、問題なければ「Create Database」ボタンをクリックします。

MySQLデータベースクラスターが作成されるので、「Cluster Status」が「Running」になるまで待ちます。

「Connection Details」セクションの「Copy Connection String」をクリックして接続情報をコピーします。

mysqlクライアントがインストールされているVPSやPCのターミナルにコネクション情報を貼り付けて接続します。
mysql --host="your_host_name" --port=16567 --user="vultradmin" --password="your_password"
MySQLサーバーにログインできれば成功です。

垂直スケーリング
Managed Databaseでは、管理画面の数クリックで垂直スケーリング(単一ノードのリソース追加)が可能です。
「Change」プランから別のプランを選択して保存するだけで、ほとんどダウンタイムなしでvCPU、ストレージ、メモリを増やすことができます。
ディスク容量の減少を伴うプランのダウングレードはデータ消失の危険性があるためサポートされていませんが、レプリケーションノード数の変更は、増加、減少どちらも可能です。

水平スケーリング
水平スケーリング(ノード数の増加による負荷分散)も管理画面から数クリックで可能です。
DBクラスター詳細画面で、「Add Read-Only Replica Node」をクリックします。

注)これは負荷分散のための読み取り専用レプリカで、データベース作成時のプラン選択で指定するフェイルオーバー用のレプリカ数とは異なります。同じ「Replica」という単語なので紛らわしいですが、混同しないようにしましょう。
レプリカのサーバースペックはプライマリーノードと同じになり、変更はできません。ただしフェイルオーバー用のレプリカは不要のため、その分のコストがかからず、プライマリーノードより安価に利用できます。
「Location」と「Label」(ノード名)を入力し、「Deploy Now」をクリックするとレプリカノードが作成されます。Locationはプライマリーノードと別のリージョンを選択することも可能です。

新しい読み込み専用のレプリカノードが立ち上がります。レプリカノードはプライマリーノードとは別の接続情報を持つので、アプリケーション側で複数DBに読み込みクエリを分散させるよう設定が可能です。

IP Addressによるホワイトリスト作成
ホワイトリストを追加すると、リストに掲載されたIPアドレス以外からはデータベースにアクセスできなくなり、セキュリティが向上します。アプリケーションサーバーのIPアドレスを追加しておくと良いでしょう。
データベース詳細画面の「Overview」タブから「Trusted Sources」セクションで「Edit」ボタンをクリックします。

IPアドレス(複数可)を入力して「Save」ボタンを押します。

まとめ:Vultr Managed Databaseはコスパ最強のマネージドデータベース
VultrのManaged Databaseは非常にコスパが良いため、大手クラウドのコストの高さからマネージドデータベース利用に二の足を踏んでいた人でも気軽に利用できます。
煩雑なデータベース管理業務はプラットフォームにまかせ、顧客価値を生むアプリケーション開発に集中したい方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。
