「プログラミングは学びたいけれど、プログラミングスクールは高額で無理」とあきらめていないでしょうか。実は、政府の補助金を活用すれば、最大で受講料の80%もの還付を受けることができます。
本記事では、多くのプログラミングスクールが対象となっている「教育訓練給付制度」と「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」に関して、それぞれの特徴、給付金額、対象者、手続きなどをわかりやすく解説します。
受給資格があればコスパ良くプログラミングを学ぶことができますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
政府による2種類の支援とその違い
政府が実施している給付金・助成金で、プログラミングスクールが対象のものは以下の2つがあります。
- 厚労省:教育訓練給付金
- 経産省:リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
どちらも「プログラミングスクールの受講費が大幅に安くなる」点では共通していますが、制度の「目的」と「利用できる人の条件」が全く異なります。
一番大きな違いをひと言で表すと、以下のようになります。
- 厚労省「教育訓練給付金」 = 転職しなくても使える。スキルアップ全般のための制度
- 経産省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」 = 在職者の「転職」を応援する制度
プログラミングスクールを受講するにあたって、知っておくべき決定的な違いを4つのポイントで比較します。
| 比較項目 | 厚労省:教育訓練給付金(専門実践) | 経産省:リスキリング支援事業 |
| 最大の目的 | スキル向上・雇用の安定(転職しなくてもOK) | 在職者の「キャリアアップ・転職」 |
| 対象になる人 | 雇用保険に一定期間入っている人 (在職者・失業中どちらも可) | 現在働いている人(在職者)のみ (パート・アルバイト・派遣も可。失業中はNG) |
| 最大給付率 | 最大 80%(年間上限64万円) | 最大 70%(上限56万円) |
| 窓口・手続き | ハローワーク | 受講するプログラミングスクール |
① 教育訓練給付制度とは
教育訓練給付金は厚生労働省の制度で、厚生労働大臣に指定された教育訓練講座を修了したときに、受講料の一部が支給されるものです。
プログラミングスクールも例外ではなく、受講予定のコースが厚生労働大臣に指定された講座であれば給付金の対象となります。
教育訓練の種類
給付の対象となる教育訓練には、以下の3種類があります。
- A. 専門実践教育訓練
- B. 特定一般教育訓練
- C. 一般教育訓練
プログラミングスクールの講座は、「専門実践教育訓練」または「特定一般教育訓練」に指定されていることが多いです。
A. 専門実践教育訓練
「専門実践教育訓練」は支給額が一番多く、プログラミングスクールで給付金といえばほぼこの制度を指します。スクールのウェブサイトで「実質70〜80%オフで受講できる」と記載されているのは、この制度があるからです。
- 目的:中長期のキャリア形成
- 総支給額:最大で受講料の80%(年間上限64万円)
- 80%の内訳:
- 50%:受講中6か月ごとに支給(年間上限40万円)
- 20%:資格取得などをし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合(年間上限16万円)
- 10%:上記2つを満たした上で、訓練修了後の賃金が受講開始前と比較して5%以上上昇した場合(年間上限8万円)
補足:「資格取得など」の条件について 20%給付条件の「資格取得など」は、ほとんどのプログラミングスクールにおいては講座を無事に「修了(卒業)」することで条件達成となります。ただし、特定の国家資格取得などを修了要件に組み入れているスクールもありますので、念のためスクール説明会などで確認することをおすすめします。
受講料50万円(期間1年)のスクールの場合の支給例
| 段階・条件 | 受講料 | 支給額 | 支給割合 |
| 1〜6ヶ月目 | 25万円 | 12.5万円 | 50% |
| 7〜12ヶ月目 | 25万円 | 12.5万円 | 50% |
| 修了&就職 | 10万円 | 20% | |
| 賃金5%アップ | 5万円 | 10% | |
| 総額 | 50万円 | 40万円 | 80% (実質負担 10万) |
第四次産業革命スキル習得講座(Reスキル講座)との関係
経済産業省は、特定のIT分野の教育訓練講座を「第四次産業革命スキル習得講座(Reスキル講座)」として認定しており、この制度は厚労省の「専門実践教育訓練」と密接に連携しています。
- 経産省が特定IT分野の教育講座を「Reスキル講座」に認定する。
- 「Reスキル講座」に認定された講座のうち、一定の要件を満たすものを厚労省が「専門実践教育訓練」の対象講座に指定する。
結果として、「Reスキル講座」に認定されたプログラミングスクール講座の多くが、「専門実践教育訓練」給付金の最大80%補助の対象になっています。
*注意:「Reスキル講座」と「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は、同じ経産省の事業で名前も似ていますが、それぞれが独立しておりお互いに関係はありません。
教育訓練支援給付金について
初めて「専門実践教育訓練」を受講する場合、以下の要件を満たせば、上記80%の給付に加えて「教育訓練支援給付金」が別途支給されます。
- 条件:失業状態にあり、かつ45歳未満であること
- 支給金額:雇用保険の基本手当(失業保険)の日額の60%
B. 特定一般教育訓練
「専門実践教育訓練」に比べると対象のプログラミングスクールは多くありませんが、短期間に集中して学べる講座が多いのが特徴です。
- 目的:速やかな再就職および早期のキャリア形成
- 総支給額:最大で受講料の50%(上限25万円)
- 50%の内訳:
- 40%:訓練修了(上限20万円)
- 10%:資格取得などをし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合(上限5万円)
C. 一般教育訓練
プログラミングスクールというより、ITパスポート試験対策やパソコン教室などが主な対象となる区分です。
- 目的:雇用の安定・就職の促進
- 総支給額:最大で受講料の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給されます。
教育訓練給付金の受給の流れ
手続きは大きく「受講前」と「修了後」の2回に分かれます。
ステップ1:受講前の手続き
- ハローワークなどで「訓練前キャリアコンサルティング」を受ける(どこのハローワーク、キャリア形成・リスキリング支援センターでも受講可能です)。
- 受講開始の2週間前までに、住んでいる地域のハローワークで受給資格の確認を行う。
ステップ2:スクール受講と申請
- プログラミングスクールを受講・修了する(※費用は一旦自分で全額支払います)。
- 修了後、受講者がハローワークに支給申請を行う。
- ハローワークから指定口座に給付金が振り込まれる。
注意)上記の「訓練前キャリアコンサルティング」と「受給資格確認」は、専門実践教育訓練または特定一般教育訓練を受講する場合に必須です。一般教育訓練を受講する場合は事前の手続きは必要ありません。
教育訓練給付金の受給資格
教育訓練給付金を受給するには、受講する講座が厚労省の指定講座であることに加え、受講者本人が以下の条件を満たしている必要があります。
- 受講開始日時点で、在職中で雇用保険に加入している。または、離職してから1年以内であること(妊娠、出産、育児、疾病、負傷などの理由により適用対象期間の延長を行った場合は最大20年以内)。
さらに、加入期間(受給回数)に応じて以下の条件が加わります。
- 初めて教育訓練給付金を受給する場合
- 専門実践教育訓練:雇用保険の加入期間が2年以上
- 特定一般教育訓練・一般教育訓練:雇用保険の加入期間が1年以上
- 過去に教育訓練給付金を受給したことがある場合
- 前回の受講開始日以降、雇用保険の加入期間が3年以上あること
② リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業とは
「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」(以下、リスキリング支援事業)は、在職者の転職支援を目的とした経産省の事業です。
- 目的:転職支援(及びそれを実現するためのリスキリング)
- 総支給額:最大で受講料の70%(上限56万円)
- 70%の内訳:
- 50%:受講修了(上限40万円)
- 20%: 実際に転職し、その後1年間継続的に転職先に就業していることを確認できる場合(上限16万円)
この事業に採択されたプログラミングスクールは、受講者に以下の全てをセットで提供することが義務づけられています。
- キャリア相談対応:キャリア・スキルの棚卸、キャリアゴールの設定など
- リスキリング提供:プログラミング講座の提供
- 転職支援:プログラミングスキルを活かせる転職先の紹介、伴走
- フォローアップ:転職後1年間の転職先での継続的な就業や転職に伴う賃金上昇の確認など
リスキリング支援事業の給付の流れ
リスキリング支援事業に採択されているプログラミングスクールを受講する場合、受講料の支払いとキャッシュバックの流れは以下のようになります。
- 契約時に受講料の「全額(100%)」を支払う(一括、またはクレジットカード等の分割)。
- カリキュラムをすべて終えて修了条件を満たすと、数週間〜1ヶ月程度でスクールから受講者へ「50%分」がキャッシュバックされる。
- その後、転職して1年間継続勤務したことが確認できたら、さらに「20%分」がキャッシュバックされる。
国からではなくスクールからキャッシュバックが行われる理由は、この制度が、受講者個人が国に申請するのではなく、「国 ⇆ スクール(補助事業者) ⇆ 受講者」というルートでのお金のやり取りになっているからです。
リスキリング支援事業の受講期限
「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」には2つの期限が設けられています。
- 受講の修了期限: 2027年3月31日までに講座を卒業すること
- 転職の完了期限: 2027年4月30日までに転職を完了すること
この期限の理由は、現行の枠組み(現行予算による支援)が2028年3月31日をもって完全に終了(事業完了)することが決まっているからです。そのため、転職後の1年間のフォローアップを含めて逆算すると、受講修了期限が「2027年3月31日」となります。
「まだ来年がある」と油断できない理由
ここが盲点なのですが、「2027年3月末までに『修了(卒業)』していなければならない」というルールです。
例えば、受講期間が6か月〜10か月といった長期の本格的なプログラミングコースの場合、2027年3月に間に合わせるためには「2026年の夏〜秋頃まで」に申し込んで受講をスタートしなければならない計算になります。そのため、スクールによっては長期コースの受付をまもなく締め切る、あるいはすでに締め切っているケースが出てきています。
現行の「最大70%補助」の枠が生きている今のうちに、スクールの無料カウンセリング等で「自分の希望するコースはまだ間に合うか」を確認し、滑り込みで利用するのが最も確実で賢い選択と言えます。
よくある質問
Q: 「教育訓練給付金制度」と「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の両方から受給することは可能ですか?
A: 両方の制度を同時に使って2重に給付をもらうことはできません。また、スクールやコースによって「厚労省の指定しか受けていない」「経産省の指定しか受けていない」という場合もあるため、事前にスクール側へ「どちらの制度に対応しているか」を確認してください。
Q: 転職を前提としていませんが、「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」でキャッシュバックを受けられますか?
A: 受けられません。転職を前提としていない場合は定額で受講するか(キャッシュバックなし)、「教育訓練給付金制度」が使えるプログラミングスクールの検討をおすすめします。
まとめ:給付金を使ってコスパよくプログラミングを学ぼう
政府の給付金を活用すると、以下のようなメリットがあります。
- 「専門実践教育訓練」の指定スクールなら最大80%の給付が受けられる
- 「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の指定スクールなら最大70%の給付が受けられる
プログラミングスクールを検討するにあたり、カリキュラムの質や転職実績など、給付金以上に大事な要素はたくさんあります。それでも、検討している講座が給付対象なのかどうかは、スクールの説明会で必ず確認すべき重要項目の1つです。
当サイトの「おすすめプログラミングスクール」の記事でも給付金対象の講座を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
