プログラミングスクールに通うことはエンジニアになるための有効な手段の一つではありますが、プログラミングスクールと言ってもピンキリですし、顧客をカモにしていると言われてもしようがないスクールも一定数存在します。
本記事では、元ITスタートアップのCTOで現役エンジニアの管理人が、プログラミングスクールのカモになってしまう人がいる理由と、そのようにならないための対策を解説します。
そもそもカモになるとは
「カモになる」とは、だましやすい絶好の相手(カモ)として、他人に利用されたり、利益を搾取されたり、だまし取られたりする状態になることを意味します。
サービスや商品に対してお金を払う点では、普通の健全な顧客と一緒ですが、取引のあとに「双方が納得してWin-Win(対等)な関係になっているか」が決定的に違います。
- プログラミング技術やエンジニア転職市場についての知識不足を利用され、「簡単に高収入なエンジニアになれる」と思って入学してしまう
- 高額な授業料に見合わない、質の低いカリキュラムを提供される
- スクールを卒業してもエンジニア転職に失敗し、激しく後悔する
あくまで一例ですが、これは悪徳プログラミングスクールにカモにされる典型的なパターンです。カモにされないためには、その理由を正しく知り、適切な対策を講じる必要があります。
受講料に見合わないカリキュラムやサービス
どんなサービスでも同じですが、得られる価値が支払う金額に見合っていれば適正なサービス、そうでないサービスは不適切と言えます。
例えば、以下のようなプログラミングスクールは適切なサービスを提供していると言えます。
- 適正な例1: 転職サービスがなくサポートもチャットのみだが、その分価格が抑えられているスクール
- 適正な例2: 受講料は高いが、講師が全員現役エンジニアで、質の高いカリキュラムを提供するスクール
一方、以下のようなスクールに数十万円も払うことは、まさに「カモになる」ことを意味します。
- プログラミングの基礎しか学べないカリキュラム(HTML、CSS、JavaScriptの基礎のみなど)
- 返信が遅く、問題も解決しないサポートチャット
- アルバイトに毛が生えたような講師・メンター
対策1:複数のスクールを比較・検討する
複数社を比較することで相場を把握し、学べる内容やサポートはほぼ同じなのに明らかに割高なスクールを排除することができます。
公式ウェブサイトや無料カウンセリングで、以下の項目が明確になっているか確認しましょう。
- 受講料(国の補助金の有無)
- カリキュラム(学べる言語、フレームワーク、チーム開発の有無、オリジナルポートフォリオ制作の有無)
- サポート体制
- 転職サポートの有無と内容
上記項目について、そもそも明確な答えを得られないようなスクールは、避けた方が賢明でしょう。
対策2:費用対効果を計算する
スクール卒業後にどの程度の収入アップが見込めるのかを数値化することで、費用対効果の高いスクールを選びましょう。
【シミュレーションの例】
- 現在の年収が400万円だが、エンジニア転職すれば500万円になることが見込まれる場合:100万円の年収アップ
- ウェブ制作で月に5万円の副業ができるようになる場合:年に60万円の追加収入
効果を数値化したら、今度はプログラミングスクールの受講料と比較して、投資回収期間や費用対効果を計算します。
- 50万円の受講料がかかるが、年収が100万円アップすれば半年で回収できる(費用対効果が高い)
- 100万円の受講料に対して年に60万円の追加収入では、投資回収に1年半以上かかってしまう
投資回収期間が短ければ短いほど、費用対効果が高く、カモになりにくいと言えるでしょう。
サポートが十分でなく挫折
スクール側のサポート体制が十分でないと、途中で挫折してしまい、結果的に「カモになった」と感じてしまうかもしれません。
- 講師やメンターの質が低いため、チャットで質問を投げても適切な回答が返ってこない
- 返信が遅く、1つのエラー解決に何日もかかる
- 実際に画面を共有しながら問題を解決したいのに、ウェブミーティングはサポート対象外
このような体制では、途中でプログラミングをあきらめてしまう人がいても不思議ではありません。
対策:サポート体制とメンター経歴の確認
スクールのサポート体制とメンターの質を事前に確認しましょう。
- サポート体制: チャットのみなのか、ウェブミーティングも可能なのか。回答にかかる平均所要時間、質問可能時間帯など。
- メンター経歴: アルバイトではない「現役のエンジニア」かどうか。
もちろん、手厚いサポートにはスクール側の運営費用もかさむため、受講料が高くなる傾向はあります。ただ、挫折してしまっては元も子もないので、独学に強い自信がある人以外は、多少お金をかけてでもサポートが手厚いスクールを選んだ方が無難でしょう。
卒業してもエンジニアになれない・希望する業態ではない
エンジニア転職するためにスクールに通ったのに、結局エンジニアになれず受講料が無駄になってしまうケースです。
- 卒業したけれど、エンジニアとして1社も転職先が決まらない
- 転職はできたが、プログラミングとは関係ない家電量販店での販売やコールセンター業務に従事させられる
また、エンジニア転職自体はできても、自分が希望する業態ではないケースもあります。
- 自社サービスを開発している企業に行きたかったのに、スクールがSES(客先常駐)の求人しか紹介してくれなかった
対策:転職実績と契約内容の確認
卒業生の転職実績を、公式ウェブサイトや説明会で事前に調べておきましょう。
- 就職率(どのような条件で算出されているか)
- 就職先タイプ(受託開発、SES、自社開発)の割合
- 具体的な就職先企業名
- 就職時のポジション名(フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア、インフラエンジニアなど)
就職率が高く、就職先のタイプや企業名が明確に開示されているスクールに通えば、卒業してもエンジニアになれないという事態を防げる可能性が高まります。
転職保障付きなのに受講料が返還されない
「転職保障付きのコースだから安心」と油断していたら、受講料が返還されず泣きを見るケースです。
- 希望とは違う企業だったが、内定が出てしまったので転職保障が適用されなくなった
- 課された課題の提出期限を1日遅れてしまったため、保証対象外になった
- 途中でスクールを辞めてしまったので、保証が適用されなかった
注)転職保障とは: もし転職できなかった場合にスクール受講料を返還してくれる保証のことです。転職保障はコースによって「あり・なし」があり、ある場合でも適用の条件はスクールごとに違います。多くの場合、非常に厳しい条件が定められています。
対策:転職保障の条件を確認
「転職保障」という宣伝文句をそのまま鵜呑みにするのではなく、スクールの契約書や規約の詳しい適用条件を無料カウンセリングで確認しましょう。
また、転職保障にそもそも期待しすぎないことも大切です。「多額の投資をしたのだから、何が何でも一人前のエンジニアになる」という気概で学べば、おのずと道は開け、転職先も見つかる可能性が高まります。
インフルエンサーに惑わされてしまう
「インフルエンサーが推奨しているから」という理由だけで質の低いスクールに通ってしまうと、授業料に見合うだけのサポートや講義が受けられず後悔することになります。
本当にそのスクールが良くてインフルエンサーがすすめている場合もありますが、多くは高額な広告費をもらって宣伝しているだけの場合があります。
対策:自分でも調べ、他スクールと比較する
インフルエンサーの言葉を鵜呑みにするのではなく、自分でもスクールの内容を公式サイトなどで調べましょう。また、前述の通り、複数のスクールと比較・検討し、本当にそのスクールが他と比較して優れているのかを客観的に見極めることが大切です。
無料スクールに通ってしまう
プログラミングスクールの中には授業料が無料のものがありますが、このようなスクールは卒業後の就職先企業から「人材紹介料」をもらうことで運営費を賄っています。そのため、受講生が転職できなければスクールは大損になってしまうことから、以下のような厳しい契約内容になっていることが多いです。
- 内定が出た会社には(ブラック企業であっても)必ず就職しなければならない
- 途中で退学した場合は、高額な違約金を支払わなければならない
このようなビジネスモデルや契約内容を理解した上で通うなら良いですが、「無料」という甘い宣伝文句だけにつられて何も考えずにいると、自身が考えていたエンジニア像とはまったく異なる過酷な環境で働くことになります。まさに「ただほど高いものはない」の典型です。
対策:検討対象から除外もしくは契約内容の精査
無料スクールのカモにならないためには、そもそも最初から検討対象から外すのが一番確実です。もし経済的な事情などでどうしても検討する場合は、契約書の隅々まで目を通し、納得した上で契約しましょう。
ウェブ制作コースに高額な料金を払ってしまう
ウェブ制作しか学べないスクールに数十万円の受講料を払うのは費用対効果が低く、元を取れなくなってしまう可能性が高いです。
ウェブ制作のスキル(HTML、CSS、JavaScript)はウェブプログラミングに必要な基礎知識ではありますが、それだけでは高い給与を得られる「ウェブエンジニア(開発者)」にはなれません。
基礎知識ということは、裏を返せば「誰でもすぐに習得できるスキル」ということです。そのためクラウドソーシングなどでも供給過剰で激しい価格競争になりやすく、転職しても低い年収になりがちです。副業でも数千円〜数万円の低単価の仕事しか取れないケースが目立ちます。
対策:ウェブ開発コースを選ぶ
高単価なウェブエンジニアになりたいのであれば、ウェブ制作コースではなく、以下のような本格的なモダン技術を学べる「ウェブ開発コース」を選択しましょう。
- フロントエンド: React、TypeScript
- バックエンド: Ruby on Rails(Ruby)、Laravel(PHP)など
誇大広告に釣られてしまう
「未経験でも1ヶ月でプログラミングをマスターして年収数百万円アップ!」のような誇大広告に釣られてしまう人は、カモになってしまう可能性が非常に高いです。
対策:期待値をコントロールする
自らの期待値を現実的なラインにコントロールし、プログラミングを学んでエンジニアになるにはそれ相応の努力と時間が必要だと認識しましょう。
- 実務で通用するレベルまでプログラミングを学ぶには、最低でも数ヶ月〜1年以上はかかる
- スクールを卒業した後でも、絶え間なく研鑽を積み技術レベルを上げ続けられるエンジニアだけが市場価値を高められる
自分の期待値を現実に合わせることで、甘い誇大広告を見抜き、カモにされるリスクを減らすことができます。特に「1ヶ月」など極端に期間が短いスクールは、プログラミングの基礎の基礎に触れるだけで終わってしまうため、最初から選択肢から排除しましょう。
まとめ:プログラミングスクールのカモになる理由を知り対策しよう
- 複数スクールのカリキュラム、サポート内容、転職実績を徹底的に比較検討する
- プログラミングを習得し転職するには、それなりの時間がかかると現実を認識する
- 契約内容(転職保障の条件や違約金)を細部まで精査する
これらを意識するだけで、悪徳スクールのカモにならずに、自分に合った良質なスクールを選べるようになります。ぜひ実践してみてください。
また、当ブログが厳選したおすすめのスクールも以下の記事で紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。
