プログラミングにおいて、エラー解消は日常的に発生する避けて通れないタスクです。プログラミング初心者でもベテランのエンジニアでも、エラー解消に何時間、下手したら何日もかかった経験はあるのではないでしょうか。
そこで本記事では、システムに関する4種類のエラーごとの主な発生原因と解消方法を解説します。
本記事の内容を理解することで、エラー原因の特定・解消にかかる時間を短縮できる可能性がありますので、ぜひ読んでみてください。
エラーの定義: 不具合との違い
本記事では、エラーは以下の条件を両方とも満たすものを指すことにします。
- 画面やログにメッセージが出力される
- プログラムが最後まで実行されない
画面やログにメッセージが出力されず、プログラムが最後まで実行されるものはエンジニアの現場では「不具合(バグ)」と呼ばれ、エラーとは明確に区別されることが多いです。不具合の対処方法はアプローチが異なるため本記事では扱いませんが、別記事で解説しています。
- 関連記事:システム不具合(バグ)の調査方法
代表的なエラーの種類
エラーには様々な種類がありますが、代表的なものは以下の4通りです。
- 構文エラー(Syntax Error):文法の間違い。
- 例外エラー(Exception):実行中にプログラムが途中でストップする。例外をキャッチすればプログラムは最後まで実行される。
- メモリ関連エラー(Memory Error):システムのメモリを使い果たしたときに発生する。
- 静的型チェックエラー(Type Error):データ型のルールに矛盾がある時に発生する。
| エラーの種類 | 発生タイミング | 画面表示・ログ | 主な原因 |
| 構文エラー | 実行前(または直後) | あり | タイポ、カッコの閉じ忘れなどの文法違反 |
| 例外エラー | 実行中 | あり | nullの参照、0での割り算、ファイル不在 |
| 静的型チェックエラー | 実行前 | あり | 型の矛盾(JavaやTypeScriptなど) |
| メモリ関連エラー | 実行中(限界に達した時) | あり | 無限ループ、巨大データの抱え込み |
エラーの種類によって対応策が異なりますので、まずは遭遇したエラーがどの種類に属するかを理解することが重要です。
構文エラーの原因と解消方法
プログラムが実行される前の構文解析(パース)の段階で発生するエラーで、文法の間違いが原因です。
閉じカッコの付け忘れ・対応の不一致
もっとも頻繁に起こる原因の一つです。丸カッコ ()、角カッコ []、波カッコ {} などの開きと閉じが正しく対応していないケースです。
- よくあるミス:
if (x > 5) { print("Hello"(閉じカッコが足りない)function test() { ... ](カッコの種類が違っている)
- 解決方法:
- エディタのハイライト機能を使う: 最近のコードエディタ(VS CodeやNeovimなど)は、対になるカッコを強調表示してくれます。エラー箇所の前後のカッコが正しく色付けされているか確認しましょう。
- インデント(字下げ)を整える: 特に波カッコ
{}が多層になる場合は、インデントを正しく揃えることで、どこでブロックが閉じているかが視覚的に分かりやすくなります。
記号のタイポ(打ち間違い)や漏れ
プログラミング言語ごとに決まっている「文末の記号」や「区切り文字」を忘れたり、間違えたりするケースです。
- よくあるミス:
- JavaScriptやC言語などで、文末のセミコロン
;を忘れる。 - Pythonの if 文や def の末尾にコロン
:を忘れる。 - 配列や関数の引数の区切りであるカンマ
,を忘れる。
- JavaScriptやC言語などで、文末のセミコロン
- 解決方法:
- エラーメッセージの「行番号」を確認する: 構文エラーの多くは、エラーが指摘された行の直前の行に原因があります。直前の行の末尾に
;や:があるか確認してください。
- エラーメッセージの「行番号」を確認する: 構文エラーの多くは、エラーが指摘された行の直前の行に原因があります。直前の行の末尾に
全角文字(特にスペース)の混入
日本語環境でプログラミングをしているときに、最も見つけにくい厄介なエラーです。
- よくあるミス:
- コードの間に全角スペース が入っている。
- カッコ
()やカンマ、、コロン:が全角になっている。
- 解決方法:
- エディタの設定で可視化する: VS Codeなどの設定で「全角スペースを白くハイライトする」機能を有効に(または拡張機能を導入)しておくと、一発で見つけられます。
- コードを書くときは、基本的に「常に半角英数入力」にしておき、コメントや文字列を書くときだけ日本語入力に切り替える癖をつけましょう。
クォーテーションの不一致(文字列の閉じ忘れ)
文字列を表すダブルクォーテーション " やシングルクォーテーション ' の対応がおかしいケースです。
- よくあるミス:
print("Hello')(始まりと終わりで種類が違う)print("Hello)(閉じ忘れて、それ以降のコードもすべて文字列扱いになっている)
- 解決方法:
- エディタの色(シンタックスハイライト)を見る: 文字列部分が何行にもわたって同じ色(例: 緑やオレンジなど)に染まっている場合、どこかでクォーテーションが閉じ忘れています。
キーワード(予約語)のタイポ
プログラミング言語があらかじめ用意している命令文(if, while, function, return など)の名前を間違えているケースです。
- よくあるミス:
functon test() {}(i が抜けている)retun x;(r が抜けている)
- 解決方法:
- エディタの色を確認する: 正しいキーワードであれば、エディタが自動的に特定の色に変えてくれます。文字が白いまま(あるいは変な色)であれば、タイポを疑いましょう。
構文エラーを素早く解決する3つの方法
- エラーメッセージをちゃんと読む: 「SyntaxError: Unexpected token」などのメッセージの後ろには、必ずエラーが起きたファイル名と行番号が書かれています。まずはその行(とその直前の行)をじっくり見つめましょう。
- 優れたコードエディタを使う: メモ帳などでコードを書くのは避け、VS Code、Neovimなど、エラーをリアルタイムで波線などで教えてくれるエディタを使いましょう。これだけで構文エラーの9割は書いている最中に気づけます。
- Linter(静的解析ツール)を導入する: コードの文法を自動でチェックしてくれる「ESLint(JavaScript用)」や「Flake8(Python用)」などのツール(拡張機能)を入れると、保存した瞬間に間違いを指摘・修正してくれます。
例外エラー(Exception)の原因と解消方法
文法自体は正しく書けている(構文エラーではない)のに、プログラムを実行中に発生するエラーを例外エラー(Exception)または実行時エラー(Runtime Error)と呼びます。
存在しない変数や関数を呼び出した
定義されていない変数を使おうとしたり、名前を間違えて呼び出したりしたケースです。
- エラー名の例:
NameError(Python),ReferenceError(JavaScript) - よくある原因:
- 変数名のタイポ(例:
userNameと定義したのにusernameと書いた)。 - 変数のスコープ(有効範囲)の外から呼び出している。
- 変数名のタイポ(例:
- 解決方法:
- 変数や関数を定義している場所と、呼び出している場所のスペルが完全に一致しているか確認します。大文字・小文字も区別されるので注意しましょう。
データの型(タイプ)が不適切
データの種類が合っていないケースです。
- エラー名の例:
TypeError(Python / JavaScript) - よくある原因:
- Pythonで
10 + "5"のように、数値と文字列をそのまま計算しようとした(※JavaScriptではエラーにならず"105"に変換されます)。 - JavaScriptで関数ではないもの(数値など)を関数として実行しようとした(例:
const x = 10; x();)。 - 関数が要求している引数の数や種類が違っている。
- Pythonで
- 解決方法:
- 型変換(キャスト)を行う: 文字列の “5” を計算したいなら、数値に変換(Pythonなら int(“5”)、値の確認なら Number(“5”) など)してから計算します。
null や undefined の中身を参照した
プログラムの中で「中身が空っぽの状態(値が存在しない)」の変数に対して、プロパティやメソッドを呼び出そうとしたケースです。
- エラー名の例:
TypeError: Cannot read properties of null(JavaScript),AttributeError(Python) - よくある原因:
- データベースやAPIからデータを取得できなかったのに、そのままデータがある前提で処理を進めた。
- 解決方法:
- 事前に存在チェック(if文など)を入れる。
- データが空(null)だった場合の「デフォルト値」を用意しておく。
配列(リスト)の範囲外を参照した
存在する要素の数を超えて参照してしまったケースです。
- エラー名の例: IndexError (Python)
- よくある原因:
- 要素が3つ(インデックスは 0, 1, 2)しかない配列に対して、
array[3](4番目)を指定した。 - for 文のループ回数の条件を間違えて、上限を超えてループしてしまった。
- 要素が3つ(インデックスは 0, 1, 2)しかない配列に対して、
- 解決方法:
- プログラミング言語の多くは「0から数え始める」ことを再認識しましょう。要素数が N 個のとき、指定できる最大インデックスは N – 1 です。
array.lengthやlen(array)を使って、配列の長さを動的に取得してループの条件を設定します。
0で割り算をした
数学的に不可能な計算をコンピューターに命令したケースです。
- エラー名の例:
ZeroDivisionError(PythonやRuby) ※JavaScriptはInfinity(無限大)になりエラーにはなりません。 - よくある原因:
- 割り算の分母になる変数(例:
total / countのcount)が、特定の条件下で 0 になってしまった。
- 割り算の分母になる変数(例:
- 解決方法:
- 割り算を行う直前に、分母が 0 でないか if 文でチェックを入れます。
例外エラーを防ぎ、解決するためのアプローチ
構文エラーとは違い、例外エラーは「ユーザーの入力」や「通信状態」など、本番環境やデータによって後から発生するのが特徴です。
- 例外処理を組み込む: エラーが発生しそうな場所(ファイルの読み込み、API通信、ユーザー入力の処理など)を
try-catch(JavaScript) やtry-except(Python) などの構文で囲みます。こうすることで、万が一エラーが起きてもプログラムが強制終了せず、「エラーが発生しました」などと画面に表示して処理を安全に続行できます。 - console.log や print で中身を確認する: エラーが出たら、その直前で「変数に何が入っているか」を実際に画面に出力して確認してみましょう。思っていたのと違うデータ(空っぽだったり、文字列だったり)が入っていることが一目でわかります。
メモリ関連エラーの原因と対処方法
プログラムが、コンピューターの物理的なメモリ領域(RAM)を使い果たしたり、アクセスしてはいけないメモリ領域に触ろうとしたりしたときに発生するエラーです。
C言語やC++など、メモリ管理を自分で行う言語で頻発しますが、PythonやJavaScriptでも巨大なデータを扱うと発生します。
無限再帰(無限ループ)
- エラー名の例:
StackOverflowError - よくある原因: 再帰関数の中で自分自身を無限に呼び出し続け、メモリの領域(スタック)を食いつぶした。
- 解決方法: 再帰関数を使うときは、必ず「終了条件」が正しく機能しているか確認する。
巨大すぎるデータの読み込み
- エラー名の例:
OutOfMemoryError - よくある原因: 数ギガバイトある動画やテキストファイルを、一気にメモリ上に広げようとした。
- 解決方法: 重いファイルを扱うときは、一気に読み込まずに「少しずつ細切れにして読み込む(ストリーム処理)」方法に変える。
静的型チェックエラーの原因と解消方法
TypeScript、Java、Go、Swiftなどの「静的型付け言語」で発生するエラーです。 コードを実行する前(コンパイル時や、エディタで書いている最中)に、「データ型のルールに矛盾がある」とシステムが事前に検知してくれます。
- よくある原因:
- 数値型(
number)として定義した変数に、後から文字列(string)を代入しようとした。 - オブジェクトに存在しないプロパティを呼び出そうとした。
- 数値型(
- 解決方法:
- エディタの警告に従う: 実行する前にエディタが赤線を引いて教えてくれるので、割り当てたいデータの型を正しく定義し直すか、型変換を行います。
エラーが解消しないときの対策
自力でエラーを解決できない時に取るべき方法をまとめてみました。
AIや検索エンジンに尋ねる
もし自力で解決できなれば、AIに尋ねたり検索エンジンで検索してみましょう。既に他の人が遭遇したことのあるエラーであれば、ネット情報として存在する可能性があります。
なお、最初から自分で何も考えずにAIや検索エンジンにエラーメッセージをコピペして丸投げするのは、エンジニアとしてのスキルアップの妨げになるのでおすすめしません。
一晩寝かす
何時間作業してもエラー解決の糸口が見つからない場合、いったん作業をストップし、次の日にすっきりした頭で再度取り組むのがおすすめです。
私自身、前日に何時間かけても解決できなかったエラーが、一晩寝て翌朝になったら数分で解決方法を思いついたという経験が何度もあります。
上司や同僚に尋ねる
それでも解決しない場合、チーム開発をしているのであれば上司や同僚に尋ねてみましょう。他のメンバーの方が特定のエラーに対しての知見がある場合もありますし、自分とは別の角度から問題をアプローチできる可能性もあります。
サポート付きの環境でデバッグ力を鍛える
プログラミング初心者が独学で勉強している時にありがちですが、そもそも自力で解決できるだけのデバッグ力が身についていないことがあります。
独学で頑張っていたものの、エラー解決でつまづいてプログラミング自体を諦めてしまうのはあまりにもったいないです。プログラミングスクールなど、メンターのサポートを受けられる環境でデバッグ力を鍛えましょう。
まとめ:エラーの種類と適切な解消方法を知ろう
システムエラーには主に以下の4種類があり、それぞれ原因と適切な解決方法が異なります。
- 構文エラー:文法の間違い
- 例外エラー:想定外のユーザ入力値やAPIレスポンス、不適切なコード処理
- メモリ関連エラー:メモリ不足、無限ループなどによるリソース枯渇
- 静的型チェックエラー:データタイプの不一致
エラーに遭遇した時は慌てず、まずはどんな種類のエラーかをエラーメッセージから読み解くことから始めましょう。
